動画とエッセイ

ペナン島の交通事情

 
 交通事情については国によってかなり差がある。この年になるまで20以上の国や地域を訪れた。面白いもので道路の往来を見ていると、その国の状況とか本質がレントゲン写真のように素っ裸で見えるのである。他のことだって似たようなものかもしれないが、「トラフィック」に限って言えばあれほど明け透けで隠しようのないものは他に例がない。詳しく書けばキリがないのでごく簡単に記しておく。
 車は日本と同じ左側通行である。思うにこれはイギリス植民地時代に根づいたルールだと思う。イギリス本国に行った方はご存知のように日本と同じ左側通行、標識も似たかよったか。レンタカーを借りて走ってもなんの問題も起きない。ペナン島から「イギリス文化」を外したらほとんどなにも残らないといっても過言ではないくらい影響は濃い。確かめてはないが間違いないだろう。
 ただし、日本と大きく違うのは歩行者優先ではないことかな。車が大きな顔をしてビュービュー走る。ペナンに住んでいた頃、日本人の観光客が日本の感覚のまま通りを横断しようとして警笛を鳴らされたり危ない目に逢っているのをワンサカ見てきた。その上交通ルールは守らないから日本人にはマナーの悪さが目につく。スピードオーバーは当たり前という感じ、センターラインなんかまったく守らず跨いで走る車なんてざらにある。


 高速道路の速度制限は一応110km、4年くらい前国会で120kmにしようという動議があった。理由を聞いて笑った、みんな守らないで120km以上で走っているからなんだそうだ。結局、実行はされなかったが、日本の80km〜100kmに比べると設定が高いことがわかる。高速道路でも市街地は90kmになっていて、ここではスピードガンをもった警官の取り締まりが盛んだ。反則金は規定を越えたスピードによって異なるが、たしか20〜30kmなら日本円で9,000円位と聞いた。高速道路であろうと一般道路であろうと、交通警官が待っていて車を止めるケースではワイロが成立する。私自身も警官に止められ道路の端に車を寄せ窓を開けたら警官が中に手を突っ込んできたという経験を持っている。
 ワイロというと日本人は顔をしかめるが悪いことばかりではない。(悪いことなんだがねぇ)下級警官の給与は月3万円足らず、警察署へ出頭して納めたところで上にあがってどう使われるんだかわかったもんじゃない、それなら罰金の1〜2割で済むし、警察署で半日待たされるより下級警官の生活費の足しにでもしたほうがお互いのため・・・と(自分に都合よく)思ってしまう。日本だってあっちこっちの警察署でその金が裏金になり、冠婚葬祭はおろか多くは飲み食いに費やされ胃袋に収まってしまった、あまり大きなことは言えない。
 タクシーは料金を吹っかけてくるわバス(ヒンバスと呼ばれる路線バス)は汚いわ運転は乱暴だわと日本では考えられないことも多い。その反面ガソリンは今リッターあたり42〜3円(だろうか?)免許証のこともプロトンのこともいろいろあるが、このあたりは長くなりそうなので改めて書くことにしよう。あっそうそう、ついでながらレンタカーは60歳以上は借りることはできない。