季節の変わり目 〜冬から春へ

季節は冬から春へ

蕗味噌の焼きおにぎり

  春は名のみの 風の寒さや
  谷の鶯(うぐいす) 歌は思えど
  時にあらずと 声も立てず
  時にあらずと 声も立てず
 これはよく知られた『早春賦(作曲:吉丸一昌、作詞:中田章)』の一節、「賦」は歌の意味。over60の自分はこんな歌を文部省選定の小学校唱歌なんだよと懐かしがったりちょっと古いかななんて人を気にしたりするが、最近の子供たちは習ってるんだろうか?なにはともあれこの時期はまさにこの歌の通り。
 明治6年に定められごく日常で使っている暦は<太陽暦>、こちらでは3月〜5月は「春」となっている。一方、二日前の「啓蟄」で書いた二十四節気では立春から立夏の前の日まで、天文学的には春分から夏至の前日と「春」の決め方もいろいろだ。人間誰しも起きる時間も寝る時間もバラバラなんだ、いろんな見方があってもいいってことかな。今年の今日あたりに限って言えば、冬と春の間に架かった橋を渡っているようなもんだろう。

 先日ゴルフに行ったとき、レストランのマスターが<特別に>と言って、私たち二人にフキノトウの天婦羅を食べさせてくれた。「今朝、クラブハウスの裏で採ってきたんだ、おいしいと思うよ」。思いがけないものには数倍の感激があるもの、独特の苦みと新鮮な香りが口いっぱいに広がった。ちょうど天気が良かったのでこの時ばかりは味(身)も心も春になっていた。
 拙宅の庭の片隅にも何本か見かけて、蕗味噌にでも…なんて話していたところだった。花が咲いてしまったものは熱湯でさっと湯がいてみじん切りにし、少し炒めてみりんと味噌で煮切れば出来上がる。これを少し焼いたおにぎりにたっぷり塗ってもう一度焼き直すと格別な春の味が楽しめる。