「啓蟄」

土浦総合公園

空の青さが眩しいけど寒い一日だったね


 今日は啓蟄、“啓”は「ひらく」で“蟄”は「土中で冬ごもりしている虫」という意味であることくらいは誰でも知っている。要するに冬場穴に篭っていた虫たちがモソモソと出てきて子孫繁栄の活動を始めるということ。サラリーマンは夏場に2〜3か月どこかで休んで、秋になったら活動再開なんてマネはできないから、虫がうらやましいんじゃないかな。
 冗談はともかく文字に秘められた意味合いが良いのか、名前に「啓」がつく人は多い。そして「お名前は?」と聞かれると「ケイチツの『啓』です」と答える。かえって混乱する人も中にはいるんだろうが。

 そもそも『啓蟄』という言葉は中国からの外来語-----そんなこと言えばキリないが-----で、もともと「驚蟄」と書いていたんだけれど漢の時代に時の皇帝の名前に「啓」がついていたんで「啓蟄」と変えたんだそうだ。名前へのこだわりと皇帝の権力が成せる技とでも言おうかな、なんでも好き勝手にできていいね権力者は…。
 「月」ごとの呼び名だって似たような例がある。紀元前、カエサルが今のユリウス暦を作ったというテーマはテレビのクイズによく出てくる。このときカエサル小父さんは「7月はオレの誕生日だからQuintilisという呼び名を変えてJulius(July)にしちゃおうかな」と考え実行した。結局カエサルさんは暗殺され、彼の甥であり養子でもあったオクタビアヌスが新皇帝になる。やがてオクタビアヌスは「アウグストゥス(Augustus)」の称号を与えられて巨人軍の終身名誉監督、、いや違った、、終身インペラトル(皇帝)になる。Augustusとはなんぞやと思って調べると<尊厳なるもの>という意味を持っているらしい。
 権力者の悪弊は繋がるもの、アウグストゥスは「カエサル叔父さんを真似て、オイラの誕生月(8月)はSextilisからAugustus(August)に変えっちゃおうかな」てなことになる。元々8月は30日だったのが愉快でなかったようで、2月から一日奪い取って31日にもするというやりたいホーダイ。時代は変われどこういった人は常にいるんだよな。それに後世の歴史に残るネーミングだけに、権力という椅子に座っちゃうと拘るのも分かんないでもないけど…。

 中国の「啓蟄」は今は「驚蟄」に戻されているようだ。中国には古来<二十四節気>というのがある、一年の気候の変わり目を等分の24か所に分けて季節を表している。等分点はそれぞれ立春・雨水・啓蟄春分清明穀雨立夏小満芒種夏至小暑大暑立秋処暑・白露・秋分・寒 露・霜降立冬小雪・大雪・冬至小寒大寒、この中で啓蟄だけが日本の漢字と違うのもそんな由来があってのことらしい。それにしても中国と日本は大分季節的ずれはあるもののほぼ同等に用いているところが妙におかしい。
 昔から啓蟄になると福寿草が咲いたりすると言われるので散歩しながら必死で探したら、どなたかの家のプラントでひっそり咲いているのを見かけた。もう少しすればモンシロチョウが飛び始めるだろう。春は遠くない。

<写真は霞ヶ浦湖畔の土浦総合公園>