霜柱

霜の降りた畑

早朝に歩く


 朝6時半に起きる。昨年末から始めた生活習慣微調整の一環。朝早く起きることにはしたがこんな時間に散歩するのは初めて。何か発見でもあるかとの期待も若干あった。犬も歩けば棒に当たる、やってみれば何と新鮮なことか。
 近年、ほとんどの方は霜柱を踏んで歩くなんて経験してないかもしれない。以前は誰でもそうしていたのに、最近人が歩く道はことごとく、路地の奥まで舗装されてしまった。我が家の狭い庭も洋芝が伸び冬でも青い。かく言う私自身が何十年ぶりのことか。
 早朝歩いて霜柱を踏みたくても踏む道はない。他人の土地に入り込めばできるかもしれないがそうはいかない。今日はひょいっと裏の裏道に入り込んだら、舗装されてない道路にびっしり霜が張って白くなっているのを見つけた。まるで小雪がかかったエノキダケの群生に出会ったよう、朝日に輝いたその白く光る路面を惜しむように歩く。ギシッギシッと踏み固めるように歩く。故郷の少年時代をふっと思い出した。
 すれ違った同じく散歩の女性が「おはようございます」と声をかけてきた。散歩者同士の礼節なんだろう。そのセンスの良い真っ赤なウインドブレーカーの女性は楚々とした感じの方でお年は70代かな。近くの方だったが会話ぶりが本当に明るい方だった。こちらも「寒いですね」と返事を返してしばし「霜柱談義」楽しかった。


 霜柱浮かぶや故郷の麦畑