ペナンで住まい探しの思い出

住んでいたコンド



 日本は「冬の入口」というドアをノックしています。これから寒くなるよ〜という時期は何となく緊張感がありますね。やはり、年末年始というかお正月という節目があるせいでしょうか。


 私たちは既に帰国しましたが、最初にペナン島にロングステイしてから早いものでかれこれ5年になります。下見に行ったとき住む家を決めてこなかったので、ペナン入りしてからコンドミニアムを探す格好になりました。住むところは選り取り見取りで空室もたくさんあり、あまりあわてることがなかったからです。ホテルに滞在しながらじっくり現地を見て決めようという計画でした。


 さて、まず迷ったのは住む地域でした。ペナン島は日本人が住むとなるとやや大雑把ですが、ジョージタウンという比較的便利な町と北部のリゾート地とに分かれます。ジョージタウンの街中なら買い物も外食も歩いていける距離で賄えます。
 結局はこのバトゥ・フェリンギに車で5分足らずのビーチリゾート周辺にしました。東京の山手線近くで30年以上を過ごした私たちは、喧騒に飽きていたからです。開発が行き届かない手付かずの自然は魅力でした。それになんと言っても明るいこのビーチです。海の透明度はイマイチでしたが一年中変わることのない夏の陽気、訪れる観光客を眺めていると楽しくなりました。(今は生活排水などで海はだいぶ汚れているようです)
 その代わり日常の買い出しは街まで約25分かけて出かけていき、5日分くらいまとめ買いします。ワゴンに溢れるほどの食料品や雑貨はレジで後続の行列を気にすることになります。マレーシア人は日々せいぜい翌日の分くらいを買うので、私たちは目立つわ邪魔になるわで、笠置シヅ子の買物ブギ状態でした。おっさん、おっさん、おっさん、、、、!


 それはまだほんのプロローグ、コンドミニアムに着いてから部屋に上げるのも一苦労。その都度「さぁて、クロネコの宅急便だ!」と冗談を言い気合を入れたものです。あの頃はこの大作業のたびに、本気でスーパーの大きいショッピングカートが欲しいと思いました。そうすればあの重くて10個ものビニール袋をエレベーター(ペナンでは英国調にリフトと言いますが)で何回も往復し、12階の自室までエッチラオッチラ運ばなくて済むからです。


 そんな不便さはあったものの、5分10分で行けるバトゥ・フェリンギの個性豊かなホテル群が近いのは魅力的でした。ホテルメシというと都内ではとても高いものでしたが、ここでは信じられないほどリーズナブルで、地元のマレー料理に始まり西洋料理から和食、中国、インド、イタリアなどのB級グルメが楽しめたため、自然外食の頻度は高くなりました。勿論、マレーシア感覚ではあまり安上りではなかったものの、時には目先を変えてマレーシア名物の屋台に行きました。これはびっくりするほど安上がりでした。観光でペナン島を訪れる方と住む我々は自然と行くところが異なります。やはり安くておいしいところを知っている強みです。


 ロングステイを終えてすでに帰国した今、そんなことが懐かしく思い出されます。