大手新聞研究会  不都合な真実・その2 〜 またまたねつ造記事か

少年と少女と空と


 
 ◆先日、ゴルフした時のこと、仲間の一人がティーショットを打つたびに「あ〜、、朝日新聞だぁ!」とか、「あらぁ、読売新聞に行っちゃったーーー!」などと叫ぶのがおかしくて一日笑ってしまった。朝日新聞は左に、読売新聞は右に反れていくことを意味していた。聞いている仲間の誰もがその意味を知っているというのも、一般的に新聞の報道姿勢がすでに中立や公平などではなく一方に傾いていることを承知しているという意味である。


 一方に傾くということ自体、傾き方で自分にとって有利不利が出現するということ。だから<中立を保つ>などとは言ってられない、自社の記事はどうしても我田引水になってしまうのはごく自然の成り行き。
 いつからこんな風になったかはよく分からないが、少なくとも第二次世界大戦に向かわせた一因が、当時の与党を開戦へとけしかけた新聞にあるということは周知の事実である。個人的には一連の無責任なイケイケ報道で世論を誘導しなかったら、ハワイの真珠湾攻撃はなかったと思っている。その後もねつ造記事を書き続け数百万人を死に追いやった新聞の報道姿勢と、組み敷かれた政治家は深く反省しなければならないと思う。太平洋戦争における新聞の責任は、まっ先に戦争裁判を受けるべきといえるほど重大なのだ。
 そしていま、インターネットに押され、巨大新聞社はその権力を失いつつある。おそらく、10年から15年の間には今のバカげた新聞権力は無くなる。それだけに最後の悪あがきが目立って仕方ない。


 ◆民主党の小沢代表が突然の辞意を発表した。筆者にもそのことに対する感想はあるが、それ自体に賛否を述べるつもりはない。いろんな意見が巷を飛び交っているが、その立場の人間がその時と状況に応じて判断したことに過ぎない。
 それよりも、小沢さんが昨日の記者会見で重要なことを口にしている。新聞記事のねつ造を公に明かしたのだった。大事な部分なので少し長いが具体的に引用してみる。

 中傷報道に厳重に抗議する意味において、考えを申し上げる。福田総理との党首会談に関する報道について、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。
 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、今回の連立構想について、小沢首謀説なるものが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根。党首会談、および会談に至るまでの経緯、内容について、私自身も、そして私の秘書も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れもない。
 それにもかかわらず事実無根の報道がはんらんしていることは、朝日新聞日経新聞を除き、ほとんどの報道機関が、自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。それによって、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な中傷であり、強い憤りを感じる。
 このようなマスメディアのあり方は、明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思う。報道機関が政府与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争に突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。
 また、自己の権力維持のため、報道機関に対し、私や民主党に対する中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身に問うてもらいたい。
 報道機関には、冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。


 これに対する読売新聞の反論は「いずれも首相周辺をはじめ多くの関係者が証言しており、確実な裏付けを取ったうえでの報道だ」というものだった。しかし、これは意味をなさないだろう、むしろ本人から取材しないで周りの人から聞いた話だ・・・ということを認めている。

 おまけに、与党というより自民党には息のかかったニュースソースがあるんだぞという本音をしゃべってしまったにすぎず、自民党支持を明確にする読売にとってはそう書いた方が自分に都合が良いのである。でも、よく考えて読むとずいぶん間抜けなエキスキューズで笑っちゃう。これでは小沢さんから「世論操作」とバッサリ言われても返す言葉がない。
 皮肉な見方もある。小沢さんはかつて自民党の幹事長を務めた。そこで新聞社とのつながり、付き合い方、闇の貸し借りなどドブ臭いことを知っていたからこそこうした発言になったのだということ。大いにありうる。


 ◆新聞権力と政治権力の間には“貸し借り”があると聞く。昨年、新聞業界が死守したい「特殊指定(定価を統一できる特権)」を政治家が守った。公正取引委員会が決めるべきことを、しかも公取委員長があれほど強烈に反対していたのに、前幹事長の中川秀直を座長とする政治家集団がこれを粉砕してしまった。新聞業界は間一髪で助かり、政治家に大きな大きな借りを作った。日本の新聞と政治の癒着を許した恥ずべき歴史である。こちらから見ればこの貸し借りがまだ生きていたのかなと見てもおかしくない。


 もはや、日本の新聞社は無力の国民に顔を向けてはいないのだ、権力を持つ国会議員たちに向けられるだけで、彼らに対して新聞の力を誇示しなければ自分たちの存在そのものがなくなってしまう。つまり議員さんたちに「新聞を甘く見るなよ」とハッタリを見せつけておかねばなければならないのだ。新聞は暴力団など裏社会の記事は書くが、自分たち自身がしていることには決して触れない。


 しかし、よく考えてほしい、それは結果的に民主主義を破壊する行為であることを。そして、国民に対しては「お手、伏せ、ハウス」などと犬と同じように飼い慣らそうという意図が見え見えであることを。マイケル・ムーアの<華氏911>で語られた言葉、「階級制度を維持するため、貧困と無知を保持しなければならない」。まさに新聞社の意図するところではないのか。
 すべての国民は新聞報道を盲目的に信じてはいけない。このままでは日本がおかしくなってしまう。