自然と触れ合う子供たち

魚に触れず手を引く園児たち


 昨日の話。我孫子市側の手賀沼へ遊びに行くとたまたま「おサカナ放流体験」に出会った。
 体験者は同市の幼稚園児50〜60名で、放流した魚はフナやウナギなど約1000匹くらいか。作業はまず、7つの大きな桶に分けられた魚を手づかみにして小さいバケツに入れる。それを二人一組で持って沼辺の岸に行き水に放流する。そして空のバケツに次の人用に水を少し汲んで、元の大きな桶に戻り次の組にバトンタッチという具合。ちょうど運動会のリレーのように残りの子供たちは並んで待つというやり方だった。


 われわれの子供時代は川遊びをしながら魚を追いかけるので、魚に触ること自体恐れるなんて考えられなかった。最近はそんなチャンスがないせいか、チビッコたちは手づかみにする段階で大騒ぎ。片手でつかもうとするからなかなか掴めない。それでも世話役の我孫子市役所の職員さんに教わりながら何とか少しづつ消化していく。
 沼は渇水期で水位が低く、沼の水辺に放したつもりの魚が水がなくて白いお腹を上にしてひっくり返ってばかり。子供のリーチでは届かず見ていた私もそれとなく手を貸す。戻るには水をバケツに入れなければならないが、子供ではそこまで届かないのでこちらも自然に手を貸すことになった。市役所の職員さんの人数では到底賄えず見るに見かねてのことだったが、こういうことはあまり手出しもできずそこそこに退散した。
 しかし、ああして子供たちが生き物に触ること、自分の手で水に放すことなどは、非常に良い情操教育になるんではないかなと思った。最近水質を取り戻してきた手賀沼だけに、こういった体験があれば環境の話もナチュラルに身に付くだろう。とにもかくにもイベントとして成功している。それは何より、あの子供たちの楽しそうな笑顔を見ていたらよくわかる。


 うまく深い所に到達し、水を得た魚はさっと岸を離れる。その魚たちに園児たちが「バイバイ」と言って手を振る。今年も飛来したばかりの白鳥たちが、物珍しそうに遠目で眺めていた。