胸にモヤモヤした何か

何処へ飛んでゆく


 今日は寒い一日だった。長袖を引っ張り出して着た。ついこの間まで30度あった気温が朝20度を切った。季節はときに劇的な変化をもたらす。
 歩いていたらトンボを見つけた。猛暑の夏も終わりホイヒャ〜アの秋になる。「ホイヒャ〜ア」というのはトンボ語で「時間がゆったり流れる」という意味らしいです。
 長渕剛さんの作品に「とんぼ」という曲がある。私もこの曲は好きだ。天才肌の彼は鹿児島市出身、風光明媚なところからコンクリートジャングルに憧れ故郷を後にする。肉体改造して強健な体を作ったり、自分の喉を強い酒でうがいしてわざと焼き切ったのは、幼少期に虚弱体質だったことのパラドックスかもしれない。三島由紀夫さんとは「武士道思考」で共通点もありそうだが、基本的にはずいぶん違うかなと思う。
 テレビドラマの「とんぼ」では半端なヤクザ役で登場し、最後にコンクリートジャングルと鮮血に抱かれるようにして壮絶な死に方をした。印象的だった。50歳を超えてこれからどんな作品を作ってくれるんだろう。個人的にはやんちゃを卒業し、晩年のサッチモのようなホイヒャ〜アな曲を聞かせてもらいたいがまず無理だろうな。
 年は自分とちょっと違うけれど、東京に憧れて出てきた時代のヤローどもは、どっか共通している<胸にモヤモヤした何か>があるんだよね、何かってうまく説明できないんだけれどね。このトンボの写真をじっと良く見てくださいね、そう、15分位で良いんです。やがてトンボがチラッと舌を出していることに気がつくでしょう。

死にたいくらいに憧れた東京のバカヤローが
知らん顔して黙ったままつっ立ってる
ケツのすわりの悪い都会で憤りの酒をたらせば
半端な俺の骨身にしみる

あぁ幸せのとんぼよ何処へ
お前は何処へ飛んでゆく
あぁ幸せのとんぼがほら
舌を出して笑ってらぁ  (by長渕剛