コジローのひとり言

食糧?いやいや勘弁して


 ずいぶん昔(17、8年位前かな)だが、中国をウロウロしたことがあった。香港から列車で入り高州から北へ向かっていた。気がついたら町にノラ犬もノラ猫もいない。どうしたのかと訊いたら食べれられたというのでびっくりした。飼われていない犬や猫は町の人の胃袋に収まったのだ。当時自分も犬を飼っていて、十分な愛情移入していたから<犬を食う>と聞いただけで吐き気がした。中国人はなんて節操のない野蛮人なんだろうと思った瞬間別のことが頭をかすめた。日本人が鯨を食う民族だと一部の欧米人に軽蔑を受けているという事実だった。フ〜ン、異句同義語なのか、食べるということは生きることか。
 食糧事情が深刻になれば人間生きるために何でも食う。戦争中の兵隊さんは芋虫だって食べたし日本国内の動物園の動物も例外ではなかった。ただ食べ物が潤沢なのになんでも食べるのは品格を失うというわけだ。つまり、これこそが欧米人の言う社会的なヒエラルキーに似ている。地球上に住む一部の人種は動物にも序列を適用し、ついでに地域による人種も文化も同じようなランク化しようとしている、なんて傲慢な考え方なんだろう、彼らが食料に本当に困ったとき、いったい何を食べて何を食わないのか知りたい。(犬や猫を食べよと奨励しているんではありません)まるで宗教心がない自分は、こういう時、電車の中でブスが履くヒールの踵で踏まれた時より腹が立つ。
 今日、ジンバブエゲーリー・プレーヤーやアーニー・エルスの故国南アフリカの北隣り)の食糧危機の話が伝わってきた。首都ハラレ郊外に迷い込んだ野生のキリンを飢えた住民らが食べようとしたが、警察当局によって間一髪救出されたということである。日本のようなもの余りで、コンビニやスーパーの売れ残り弁当など大量の食料廃棄をしている国があると思えば、野生動物を食べちゃおうとしている国だってある、同じ時間同じ地球に。ジンバブエではペットが食肉用に殺されるケースが相次いでいて、山に放火して逃げてくる野ネズミを捕まえるというところまで行っちゃっているらしい。町の精肉屋に肉が並ばない日がずっと続いているとのこと。今現在は食料の総量に困らない国だって、いつそうなるか分からない。21世紀は食糧問題の世紀と言われて久しい、ジンバブエがその発端にならないでほしいと思っている。