牛久沼の夕暮れ

そろそろ河童が出ます


 昨日の夕方、茨城県竜ケ崎市にある「牛久沼」を通った。夕時の景観が良くてとても黙って通り過ぎることはできなかった。最初見た瞬間、いつか訪れた島根県宍道湖を思い出した。デジカメで空気が伝わる絵が撮れるかどうかわからないままシャッターを押した。

 牛久沼で知っていることは「白鳥」と「ウナギ」と「河童」。白鳥は毎年数十羽飛来し、NHKが時期になると必ず映像を流す。もともと皇居外苑から譲り受けたことがきっかけと聞くが、手賀沼にいる白鳥もルーツは似ているのかな。
 うなぎはたしかここが<うな丼>の発祥地だとなにかで読んだことがあった。写真左手にちらっと見える建物はそのウナギの料亭で、そろそろ夜の来客を待とうかという構えだった。出てきた人に「大きい沼ですね」と語りかけると、「4周すると100キロを超えるよ」と教わった。
 昨年10月、朝日のアスパラクラブ筑紫哲也さんが緩急自在と題するエッセーの中で「河童を知ってますか?」を書いている。ここでは主に柳田国男氏によって紹介され有名になった遠野の河童伝説などを語っていて、牛久沼は出てこないが興味を持って調べると実に面白い。河童は人魚や鬼などと似た妖怪グループで実在こそしてないがいると信じてみると楽しくなる。河童というと我々の年代ではまず芥川龍之介を思い出し、清水昆さんの<♪カパッパ、カパッパ、カッパ黄桜カッパッパ>と来るのがルート。途中から小島巧さんが引き継いだが、あの河童の色気に負けてずいぶん黄桜を飲んだ。
 それはともかく、やれ中国から伝わったの、やれ川に捨てられた赤ちゃんが生き延びて河童になったとか諸説を調べるとはまりそうだ。それにしても昔は人を川に引きずり込むと恐れられるだけだった河童が、なぜ今はあれほど愛らしいキャラクターになっちゃんたんだろう。