Vol.1・プロローグ

パラセールを楽しむ


 2か月ぶりの散髪に行ってきた。午前11時で込み合っていることを覚悟していたが、全く逆でガラガラ状態、3台ある椅子には誰も座っていなかった。
 サッサと終わって外に出る、梅雨が明けてカッと暑くなり本来あるべき姿の太陽が顔を出していた。私は夏が大好きだ。頭もすっきりした気分も手伝って少し歩くことにした。風が実に爽快だった。噴き出す汗は全く気にならない、アゲインストの風に向かって歩いていると、2年位前まで夫婦で暮らしていたペナン島のことを思い出していた。今日の日中はおそらく33度くらいだろう、よく似ている。それにこの風は住んでいたコンドミニアムの12階の部屋を通り抜けて行った風とそっくりだった。
 
 なんだかとても懐かしくなり、ブログでちょこちょこ記憶を辿り書き残そうと決めた。住んでいた頃からサイトを持っていたのでいろんなことを書いてきた。しかし、帰国してから思い出すとまた一つ違った顔が見えてくる。
 特にいままで離れていた日本を背中越しに見てきた感想と、別な国の文化の比較は日本にいただけの時代には気付かなかったことばかりである。そのあたりはやはり観光旅行と住むことでは大差があるのだろう。
 なにより、1万枚を優に超える写真がある。自分の人生で3年弱の海外生活は貴重な部分である。語りつくせない経験を風化させないということも大事なことかもしれない。自分がだんだんボケていってしまい、すべて忘れ去る前に記録として残しておこうという気になったのだ。ブログというものは紙のいらないメモ帳のようなもの、だから印刷も収納もあとで記録をひっくり返してページを検索する必要もいらない、実に便利なことこの上もない。

 <ムルデカ>
 1957年8月31日、マレーシアは独立(ムルデカ)を成し遂げた。今年は独立50年に当たる重要な年だ。きっと今頃はイベント好きなマレーシア人のこと、汗だくで準備に追い込まれていることだろう。月末のKL(クアラルンプール)は朝から晩まで爆竹が鳴り響き、祝賀の狂騒曲が流れるに違いない。住んでいたコンドのセキュリティと握手して「ムルデカ!」と叫んだことが思い出される。いずれそのことは書くとして、50年前はシンガポール独立事件以前だったということだけ記しておこう。シンガポールが独立したのも1965年の同じ8月(10日)だった。

 南の国へ避寒に訪れる人は多い、しかし、夏に行ってみるのも良いと思う。マレーシアも確かに暑いが日本の盛夏よりはるかに過ごしやすい。日本のようにその日の最高気温が35度6度ということはまずないからだ。湿度はペナンの方が少しだけ低いという程度かな。
 観光で使う費用はその人によって違うから単純な比較はできないが、同じように遊ぶならハワイの半分もあれば十分だろう。割安なのでペナン島には若い日本人もたくさん集まる、彼らはペナンを良く知っている<通>が多い。欧州人や中国人が目立ち米国人は極めて少ない、もともと英国の植民地だっということと一応イスラム圏という背景があるせいだろう。
 今日も良く知られたバトゥフェリンギビーチあたりでは、パラセールや他のマリンスポーツを楽しんでいる若者で溢れているんだろうな。