超短編小説

 僕、あるいは僕たちの平和が危険だった過去  利根川純一

2024年、たしか暖かい10月のある日だった。庭では僕が大切に世話している鶏(ニワトリ)のベンとミヤコ、それにケンとガスリンが仲良く遊んでいた。僕はなんとなく柔らかい日差しの中で彼らをぼんやり眺めて過ごしていた。ベンはアオエリヤケイの亜種の流れ…

 「あいだけ」売り   利根川 純一

小林源三、56歳、会社員。会社は「UHS(ユニバース・ホーム・サポート)」という小さい会社で、社名とおよそ繫がらない「あいだけ」の訪問販売をしている。「あいだけ」はどこの家庭にもある必需品で、これがなくなると家事に大きな支障をきたす代物だ。 小…