本当にうれしい来客

笹蒲鉾


 我々が媒酌人を務めた唯一の夫婦が仙台に住んでいる。今時こんな人柄の良い男が世の中を渡れるのかと思ったことも過去にはあったが、ひとり娘もすくすく育ち幸せに暮らしているところをみると結構真は強いのかもしれない。
 私たち夫婦はしばらく海外に暮らし帰国してからもバタバタしていたこともあり、彼と直接会えるのはもう7年ぶりくらいか。いままでメールなどで絶えず通信していたからお互いにつつがなく暮らしていることはわかっていた。また、彼は仕事で全国を歩いている関係で、行った先々からわれわれに対し頻繁においしいものを送り続けてくれていた。あまり離れている感じはないにしろ、やはり直に会えるとなると楽しみでしかたなかった。

 幕張にイベントがあってそちら経由で駆けつけた彼は、以前にもまして頼もしい父親という雰囲気を出していた。いくつになるかと尋ねると、来年で40ですという。ふむ、お互い年のことなんか念頭になかったが双方年をとったんだと実感する。家族は変わりなく暮らしていると聞いて何よりのことと深く頷く。

 最近、ゴルフの調子はどうですかと聞かれ所属しているサークルの話に及んだ。話が進むうちに、その仲間の一人が彼の会社のグループ企業だという話から名刺を見せると、あら〜!と叫ぶ。知っているという、2年ほど前、中国旅行でもご一緒した人だという。おいおい、偶然にしてもなにかの間違いじゃないかと写真をみせるとどうも間違いないらしい。傘下で何万人もいる大企業のたった一人が、お互いの点と点を線で結んだことになった。いやはや、世間は狭いね、驚き桃の木21世紀、こんなこともあるんだ。

 久々だったので話題は大分溜まっていたようだった。3人はとにかく限られた時間中しゃべり続けた。実に楽しい時間だった。再来を期して彼は帰った。
 お土産にいただいたのが蒲鉾と萩の月GAPのベビー服。ベビー服はもちろん初孫のもの。
 蒲鉾と言えば、昔秋保(あきう)温泉卿に泊まった帰り仙台で一泊したことがある。あのとき阿部蒲鉾店の味を知ってしまった。名物にうまいものあり、幾多の笹かまぼこもこの店の味には敵わないだろう。これに牛たんと鱧(はも=まあなご)の蒲焼丼に北上川の砂地だけで捕れるベッコウしじみの味噌汁なんかあったらもう極楽である。杜の都仙台は海と山の幸に恵まれた別天地だ。大好物の萩の月はあまりにも有名、こちらは早速いただく。

 仙台と言えば、ペナン島に住んでいた頃知り合ったユニークな知人がいる。実に屈託のない方で、個人的には仙台市長にしたいくらい地元を愛するおじさんである。
 そのおじさんからメールが来た。最近ブログを始めたという、ぜひ見てくれとのこと。さっそくおじゃました。想像した通り実に楽しい。よく体が持つねと言いたくなるほどの行動派、ある意味破天荒な日記のようでいかにも彼らしい親しみの持てる内容だった。とにかくベガルタ楽天ゴールデンイーグルスだけでも持て余しそうなのに、最近は他のことにも積極的に手を染めているらしい。まったく元気であきれる。でも、ガンバってチョーダイ!
http://begasapo397.bg.cat-v.ne.jp/

<下記は話題に出た仙台の名店「阿部蒲鉾店」のサイトから引用したもの>

「笹かま」の由来と「阿部かま」
 三陸沖に一大漁場を持つ仙台は、古くから鯛やひらめや鮭が豊富にとれました。
 明治の初め、ひらめの大漁が続き、その利用と保存のため、すり身にして手の平でたたき、笹の葉の形に焼いたのが、笹かまぼこのルーツといわれています。以来、仙台周辺には、自家製かまぼこを売る魚屋があちこちで見られました。朝早く仕入れた白身の魚を三枚におろし、包丁でたたいて塩や酒、卵白などで味付けし、炭火でこんがり焼いた笹かまぼこ。夕方ともなれば、その焼きたてのいい匂いが街に漂っていたものでした。
 さて、その名称の由来は、その形状が笹の葉に似ているところからきたもの。竹や笹は古来より生々発展のイメージを持ち、瑞々しくゆかしいものとして、昔から愛されてきました。その他、「ベロかまぼこ」「木の葉かまぼこ」「手の平かまぼこ」などと呼ばれたこともあります。昭和の初め、新伝馬町角に、焼きたての笹かまぼこで人気を得ている店がありました。これが、「阿部かまぼこ店」のルーツです。