鶯

紫陽花の花


 本当に雨が続かない今年の梅雨だ。今日も鈍よりと空は低く重いが、空気が湿っているだけで水は落ちてこない。
 真夏日になる日も少ないのであまり辛さも感じないで過ごせる。居間のクーラーは差し込みが外れたままで、この夏、ついに今日まで電源が入る日はなかった。自分は空調に対して体質が合わず冷たい風に弱いから良い塩梅である。

 鶯にほうと息する朝(あした)かな  (服部嵐雪

 今朝はなんと5時半に目が覚めた。ぐうたらな朝寝坊の自分がこんな時間に起きること自体珍しいことだ。
 外は湿った空気が充満しているのかいつもの静けさが倍加している。その静寂な戸外から鶯の声が聞こえる。一羽のようだが、オペラ歌手のソロようにその囀りを周り中に響かせていた。

 「鶯」は俳句でいう春の季語である。しかし<漂鳥>と呼ばれ、季節によって住む場所を変えて暮らす。3月中旬から「ホ−−−、ホケキョ」と囀り、秋から冬にかけては山から下りて「チャッチャッ」といわゆる笹鳴きをする。一年中鳴いている鶯だから、初夏に聞くことも珍しいことではないのだろう。
 しばらく聞き惚れたおかげで今日はとても爽快な朝を迎えることができた。